第2回 滋賀県醒井編 水の声に耳を傾けて ロケーション日記

2003年11月18日 撮影隊は第2回の撮影を行いました。
今回のロケーションは、滋賀県米原市(米原町)醒井(さめがい)宿と醒井渓谷です。

滋賀県米原町醒井(さめがい)宿・醒井渓谷

醒井宿

中山道の宿場町・醒井…。
古来から醒井は交通の要衝であり、江戸時代には中山道61番目の「宿」(しゅく)として栄えていました。
古代の東山道や、中世の京都と鎌倉を結ぶ鎌倉街道もこのあたりを通っていたといわれています。
街道沿いを500メートルに渡って流れる地蔵川は、古くから中山道を往来する旅人の憩いの場所でありました。
地蔵川は、いくつかの湧き水が合流してできた川です。
宿場の中に川が流れているところは他にあまり例がなく、独特の雰囲気をかもしだしています。
醒井の歴史は、この地蔵川の美しく澄んだ流れを抜きにしては語れません。
醒井は、数々の歌にも詠まれています。


   醒井の木陰の清水掬(むす)ぶとて しばし涼まぬ旅人ぞなき  鴨 長明
   水上は清き流れの醒井に 浮き世の垢をすすぎてや見ん  西行法師
   醒井に真日くれゆきて宵闇に みずのながれのおとこころよし  斉藤茂吉

また、「古事記」「日本書記」には、日本武尊(やまとたけるのみこと)が伊吹山の大蛇を退治した際、毒気にあたり命からがら地蔵川の泉にたどり着き、清水で体を癒したところ高熱が醒めたという話が記されています。それゆえ「居醒め清水」と呼ばれ、「醒井」の名前の由来となったと言われています。


宿場町の清流

宿場町の清流

宿場町の清流


宿場町に暮らす人々は、昔から清流を守ってきました。
たとえば、生活排水のほとんどは桶にためて、田畑にやるなどして決して流れを汚しません。
住人は、汚(けが)れを知らぬ水には霊験が潜むと信じてきました。また住人は、汚れた水を川に流すと水神様の罰があたる、と子供の頃から教えられるそうです。醒井は、家族ぐるみ地域ぐるみで清流を守ってきたのです。


「かわと」

「かわと」

「かわと」


地蔵川には各家ごとに「かわと」と呼ばれる小さな階段が設けられ、水面に近づくことが出来るようになっています。清らかな流れが、住人の生活の一部となってきたことが伺えます。


地蔵川 切り花

生活用水をすべて地蔵川に頼っていたのも、そんなに遠い昔のことではありません。 「かわと」に切り花が置かれていました。こうして流れにさらすと、切り花が長持ちするそうです。


梅花藻

梅花藻

梅花藻


地蔵川には、大変珍しい梅花藻(バイカモ)やハリヨが生息してます。
梅花藻はキンポウゲ科の水生多年草で、7月ごろ梅の花に似た白い小さな花を咲かせます。
小さな花は可憐で美しく、その姿を求めてたくさんの観光客やアマチュアカメラマンが集まります。


ハリヨ

ハリヨ

ハリヨはトゲウオ科の魚で体長は4~5cm、生息分布は滋賀県の東北部、岐阜県の西部に限られています。
年間の水量が一定で、水温13~15度を保つ湧き水を好みます。
ちなみに、ハリヨは絶滅が危惧される魚のひとつです。
梅花藻、ハリヨとも、清らかな水の証と言えるでしょう。


天神水

天神水天神水

天神水


天神の泉は、醒井七湧き水のひとつです。
泉や山根から絶え間なく湧き出し、幾筋かの川となってあたりの水田を潤しています。
泉のほとりには、学問の神様で知られる菅原道真公がまつられています。
清らかな水と気高きものへの信仰…。 ここには、日本の原風景がいまも残されています。


紅葉

この秋、西日本では紅葉の不作が言われました。
しかし、天神の泉のそばにあったもみじは、見事な「紅」に色づいていました。
紅葉には、美しく澄んだ空気と水が大きく影響しているようです。


醒井渓谷

醒井養鱒場醒井養鱒場醒井養鱒場

醒井養鱒場


鈴鹿山脈の最北端に位置する霊仙山(海抜1084m)から湧き出る宗谷川に沿って、醒井渓谷を上流に4kmのところにある県営醒井養鱒場(さめがいようそんじょう)。
清水を利用した虹鱒を中心とする渓流魚の孵化場です。
創設は明治11年で、100年をこえる歴史がある伝統の養鱒場で、その広大な面積は3ヘクタールと東洋一の規模を誇っています。
自然の地形を生かした飼養場には、何十万尾ともいわれる虹鱒が群泳し、その姿は雄大です。


旧西塩田小学校の瓦

養鱒場の入り口近くにある池の回りには樹木が囲み、春には桜と新緑、秋には紅葉が美しく、訪れる人を四季折々和ませてくれます。
また、場内には虹鱒料理の店が立ち並び、伝統の虹鱒料理が堪能できます。
その他にも、飼育池、鱒釣り場、さかな学習館、観察池、ふれあい河川、採卵場など自然に触れられる施設が充実しています。


旧西塩田小学校の瓦

ここでは幻の淡水魚といわれる「イトウ」の飼育も行われています。悠然と泳ぐ「イトウ」の姿は圧巻です。


米原市(旧米原町)

岩嶋孝子さん

岩嶋孝子さん


琵琶湖夕景

琵琶湖夕景


米原市役所(旧米原町役場)まちづくり課の岩嶋孝子さんは、気軽に地元の情報提供に応じてくれます。


  ■URL: http://www.city.maibara.shiga.jp/

米原市(米原町)は1996年3月、地域を挙げて水にかかわる特色ある生活文化などを維持・発展させ、水環境の保全・整備に積極的に取り組み、健全な水環境の形成に成果をあげている地域として、国土庁から「水の郷百選」のひとつに認定されました。


醒井からの帰路、美しい夕陽が琵琶湖を包んでいました。
遠く対岸に比良山系をのぞむ米原市(米原町)からの琵琶湖の景観は、古来多くの旅人の心を和ませた風景のひとつなのでしょう。


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